入管情報2024.10.05
シリーズ日系4世 第3回「日系四世の就労活動と帰国後の手続き」
入管情報2024.10.05
日本での就労活動について
日系四世の方々が本制度を利用して日本に滞在する間、一定の条件下で就労が認められています。ただし、日本文化や日本語を学ぶ活動が中心となるため、働きながら学ぶことが基本条件です。具体的には、以下のような点に注意する必要があります。
日本文化や日本語の学習が必須
就労活動を行うためには、まず「日本文化や日本語を学ぶ活動」が主要な目的であることが求められます。このため、学習活動を疎かにして働くことのみを目的とすることはできません。例えば、地域の日本語学校に定期的に通ったり、茶道や柔道といった日本文化を学ぶ活動を継続して行う必要があります。
禁止されている職業
日系四世の方々が従事できる仕事には一定の制限があります。具体的には、風俗営業や性風俗特殊営業など、いわゆる風営法で規制されている職種に就くことはできません。これらの職種に該当する業務に従事することが発覚した場合、在留資格の取り消しなどの厳しい措置が取られる可能性があります。
労働条件の遵守
日本の労働法が適用されるため、日系四世の方々も適切な労働条件の下で就労する権利があります。賃金、労働時間、休暇などの条件が法律に基づいていることを確認し、疑問がある場合はサポーターや労働相談窓口に相談することが重要です。
日本滞在終了後の手続き
日系四世の方々が本制度を通じて日本での滞在を終えた後、いくつかの重要な手続きを行う必要があります。滞在終了後は、主に以下の2つの選択肢があります。
帰国と日本で得た経験の活用
滞在期間が終了した日系四世の方は、原則として帰国し、日本で学んだ文化や言語を活かして、海外の日系社会と日本との架け橋となることが期待されています。帰国後、現地の日系コミュニティで活動を続けたり、日本企業での就職を目指す方も多いでしょう。滞在中に得た日本語能力や日本文化の知識は、今後のキャリアや活動において貴重な財産となります。
在留資格変更の申請
一定の要件を満たす日系四世の方は、在留資格を「定住者」に変更し、引き続き日本での生活を継続することが可能です。在留資格変更には、以下の条件を満たす必要があります。
- ① 5年間の活動実績:日本文化や日本語の学習を5年間続けていたこと。
- ② 日本語能力:日本語能力試験N2相当の日本語力を証明する必要があります。
- ③ 素行の良さ:日本での滞在中に問題行動がなく、社会的な信用を得ていること。
- ④ 生計能力:独立して生活できるだけの収入や資産があること。
この要件を満たした場合、「定住者」の在留資格を得ることができ、日本で長期的に生活し続けることが可能です。
困ったときは相談を
滞在中や滞在後に困ったことがあれば、相談窓口を利用することができます。以下の窓口が、日系四世の方々の支援に対応しています。
入国・在留手続相談窓口
日系四世受入れサポーターや入国・在留手続に関する質問は、地方出入国在留管理局の相談窓口で対応しています。電話やメールでの問い合わせも可能です。
労働相談窓口
就労条件や雇用主とのトラブルに関する相談は、ハローワークや都道府県の労働局に設置されている労働条件相談窓口で対応しています。外国人労働者向けの専用ダイヤルも用意されており、多言語での相談が可能です。
生活相談窓口
生活に関する悩みや問題については、市区町村や都道府県に設置された生活相談窓口で対応しています。外国人支援に特化した情報も提供されているため、安心して利用できます。
最後に
この3回にわたるシリーズでは、日系四世の方が日本に入国・滞在するための手続きや、滞在中にできる活動、そして帰国後の選択肢について説明してきました。本制度を通じて日本と日系社会のつながりがより一層強まることを期待しています。
松村総合法務事務所
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